紙面光沢加工とは
百年の歴史のもと、技術革新を続けてきました。
明治時代、日本ではヨーロッパから文明とともに伝わった印刷技術が急激に発達しました。紙にインクを刷るだけの印刷から、特殊な加工が施されるようになったのも、この頃です。光沢加工は、明治27年に横浜のドイツ人経営の印刷所で、旧幕府の丹羽氏が印刷物加工の仕上げ工程にニスを塗る技法を伝授され、印刷物に光沢を与えたことが始まりと言われています。
製品の耐久性とデザイン性を飛躍的に向上させる!
光沢加工を施すことで、包装パッケージや書籍など様々な印刷物の耐久性は飛躍的に向上します。その役割は耐熱、耐摩擦、防水などの機能性を備えています。
また印刷表面にグロスやマットの質感を表現したり特殊なフィルムによって光と影を演出するなど製品のデザイン性を高め、高級感を与える効果も得られます。
より美しく、より強く。そしてよりスタイリッシュに!
光沢加工は印刷物の表面に合成樹脂をコーティングしたり、フィルムをラミネートしてツヤを出したり強度を与える加工技術です。光沢加工された印刷物はデザイン効果や高級感を増すのはもちろん、印刷物が破損や摩擦に強くなり、耐熱や防水の役割も果たすため製品の保護や長期保存にも適しています。
身近なものではポスターや絵葉書、書籍や雑誌の表紙、化粧品や医薬品、玩具のパッケージなど生活の中で目にする機会も多いことでしょう。このように光沢加工は多種多様な印刷物を効果的にそして個性的に演出します。また光沢加工された古紙は技術の進歩により、再生紙や固形燃料へのリサイクルが可能で、環境社会への配慮も万全を期しています。
塗り加工【コーティング】
印刷面に表面加工剤をローラーで塗布する方法です。
- 光沢コーティング
- マットコーティング
- シリコンニス引き
塗り押し加工【プレスコート】
熱硬化性樹脂を印刷面に塗布し、熱及び圧を加えて圧着させる方法です。
- プレスコート
貼り加工【ラミネート】
PPフィルム等を印刷面にローラーで熱圧着させる方法です。
- ラミネート(接着剤なしフィルム)
(PP貼り グロス15μ)(PP貼り マット15μ)
(PP貼り スクラッチマット15μ)(PP貼り ベルベットマット15μ)
(PP貼り グロス30μ)
(PP貼り グロス50μ)
(PP貼り S648全面20μ)
(PP貼り ホロフィルム) - ラミネート(接着剤ありフィルム)
(パウチ貼り PET100μ、PET200μ) - ラミネート(窓貼)
(OPPフィルム15μ)
(PP貼り S648全面20μ)
プレスコートとラミネートの違い
熱硬化性樹脂を印刷面に塗布するプレスコートと、PPフィルムを貼るラミネートでは何が違うのか?というと、フィルムを貼っているのか貼っていないのかが違います。(そのままですね。。)
プレスコート加工した紙を破ってみたところ。PPフィルムがついてません。
ラミネート加工した紙を破ってみたところ。PPフィルムがついているのがわかります。
パッと見はどちらもツルツルとした見た目なので、プレスコート加工かラミネート加工か業界人でもなければ分かりません。が、PPフィルムがついているかどうかで『強度』が変わるので、加工物の用途に応じて適切な選択が必要になります。
紙面光沢加工をする場合としない場合の違い
紙面光沢加工をする場合としない場合はどう違うのか?というのを実験してみました。紙袋を作る場合。
紙袋底面を比べた写真 左からスクラッチマット、マットコート、PP加工なし
PP加工なし
袋側面。傷が目立って折り目が破れそうです。
PP加工あり(マットPP)
袋側面。折り目が破れる心配はないですが傷は目立ちます。
PP加工あり(スクラッチマット)
袋側面。傷も目立たなく折り目も破れる心配がありません。
ちなみに傷はわざとつけたわけではありません。紙袋を手織りするときに折り目を付けたりする関係でどうしてもついてしまいます。
スクラッチマットは傷が目立ちづらいので、今回のようなベタ塗(用紙全面に色がある)デザインの場合、最も適しています。
なお、今回は実験ということでコート紙で紙袋を作成してみましたが、実際のところ、コート紙でPP加工なしで紙袋は製作しません。コート紙は紙自体の強度が強くないのでPP加工なしだと裂けてしまうからです。PP加工なしで紙を作りたい場合は、強度のある紙を選びます。
オリジナルの紙製品を作る場合、紙の知識が必要不可欠
加工が必要な紙製品を作る場合、素材や必要な加工を考慮しないと適切なものは作れません。紙製品を作るには知識や経験が必要。”こんなオリジナル製品を作りたい” ”経験豊富な紙製品のプロに相談したい”などありましたら、お気軽にご相談ください。